「誰の何のため」を軸に歩む経営哲学と組織づくり 株式会社Follow 代表取締役 藤原安剛

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105キロから生まれた革命的ジム「通い放題パーソナル」の秘密

私が運営する株式会社FOLLOWでは、「通い放題パーソナルジム」という独自のサービスを提供しています。月額11,000円で、月2回の30分パーソナルトレーニングと施設の通い放題利用を組み合わせた、これまでにない業態です。

なぜこのサービスを生み出したのか。それは私自身の体験にあります。不動産営業時代、デスクワーク中心の生活で105キロまで太ってしまい、様々なジムに通いました。24時間ジム、パーソナルジム、格闘技ジムなど、3カ所に登録しても3カ月で通わなくなる。一度も行かなかった施設もありました。

そこで気づいたのは、人間の心理です。私も含めて、みんなジムに行くまでが嫌なんです。でも行って30分ぐらい運動し始めると、「せっかく来たんだからやっちゃえ」となる。人間って何でもそうだと思うんです。勉強もそうですよね。

だからこそ、パーソナルトレーニングの時間を30分に設定しました。トレーナーの指導でスイッチが入ったら、あとは自分でできる環境を整えて、残りは自由にトレーニングしてもらうという仕組みです。時間が短い分、単価も下がりますが、これならお客様も続けられると確信していました。

また、開業当初からVRフィットネスも導入しています。正直、今はオプション程度の位置づけですが、ゲーム感覚で運動ができるという発想は、私たちの「運動にワクワクを」という理念を体現するものです。おかげでテレビ局からの取材も7〜8回受けるなど、パーソナルジムとしては異例の注目をいただいています。

2020年3月1日、まさにコロナ禍の真っただ中での開業でした。前日に北海道で緊急事態宣言が発令され、予約キャンセルが相次ぎました。5月には休業を余儀なくされ、しばらくは人件費比率70%という厳しい状況が続きました。

しかし、意識の高いお客様に支えられて、開業から1年経過する頃には月商約200万円を達成。大手フィットネスクラブが軒並み苦戦する中、パーソナル指導という差別化により、月額11,000円が最低単価で、他にも高単価のコースも増え、200人以上のお客様にご利用いただけるまでになりました。

現在では、この経験とノウハウ、たくさんの失敗を活かしたフランチャイズ展開を準備しており、利回り147%という具体的な数値実績をお示しできるまでになっています。

ジュニア五輪選手が警察官になり、なぜジム経営者になったのか?

私の人生は、中学3年時の水泳ジュニアオリンピック8位入賞から始まったと言っても過言ではありません。ただし、小学校から中学2年まではそれほど目立つ選手ではありませんでした。北海道は水泳の強い地域ではないので、道内レベルでの活躍程度だったんです。

転機が訪れたのは中1で強いクラブチームに移った時です。最初は練習についていけず、上下関係も厳しく、苦労の連続でした。しかし、そこで学んだのは「完成されたものをいかに真似るか」の重要性でした。

父親に言われて、プロ選手の泳ぎやイルカなどの野生動物の動きを研究し、自分の泳ぎにリンクさせることを始めました。今思えば、これが現在の経営哲学の原点です。「世の中には答えがあふれている。それをいかに行動に移すか。自分の考えではなく、正しいとされるものをちゃんと学んで実行する」という考え方は、この頃に自覚なく身についたものです。

高校卒業後、大学には進学せず専門学校へ行きましたが、1年で中退しました。その時、今の会社の理念にもある「誰の何のため」という価値観が芽生えたんです。人のためになりたい、そんな仕事に就きたいと思い、警察官を目指しました。

警察官時代は、組織がちゃんと組織化されているということを学びました。上からの指示に対して有無を言わせない体制、これは今の経営にも活かされています。

警察を辞めた後、自分が胸を張って言えるのは水泳の実績だったので、水に関わる仕事を探していました。たまたま札幌の都心部で都市型スキューバダイビングショップがスタッフを募集していて、面接を受けたんです。

このスキューバダイビング時代の経験が、現在の経営に最も大きな影響を与えています。初日に「お客さんを連れてこい」と言われ、「どうやってですか?ルートはあるんですか?」と聞いたら「ないよ、自分で探してこい」と。

そこで私が目をつけたのは、当時出始めたばかりのmixiでした。キーワード検索で「ダイビング」「沖縄」「海が好き」などで検索し、一人一人にメッセージを送る。誰もがその時代には考えつかない営業手法でした。結果的に4年間で100人、客単価50万円のお客様を獲得できました。

この経験から学んだのは、新しいことにチャレンジして行動することの重要性です。ダイレクトマーケティングで直接一人一人にアプローチするという手法は、今の営業にも活かされています。

札幌4年、沖縄2年とスキューバダイビングに携わった後、不動産業界に転職しました。結婚もしており、「稼げれば何でもいい、ちゃんとしたサラリーマンになって子どもも作りたい」という思いでした。

不動産では法人営業を6年間担当し、転勤者向けの借り上げ社宅業務を経験しました。この時の上司に恵まれたんです。もともと三井物産に勤めていたり、自分で事業をやっていた方で、その方の考え方は完全に経営者の視点でした。当時は理解できませんでしたが、今になって「ああ、こういうことを言っていたのか」と答え合わせができています。

起業のきっかけは、その不動産時代に105キロまで太ってしまったことです。体を動かしてきた人間として、これはまずいと思い、様々なジムに通いましたが続かない。24時間ジムは安いけど一人だと続かない。パーソナルジムは効果があるけど高い。

2〜3年かけて色々なジムを体験し、規模が小さくても通い放題があって、教えてくれる仕組みがあって、安いという理想のジムがないことに気づきました。「ないなら作ろう」と思ったのが起業の始まりです。

同僚の一人が転職すると言った時、「自分が何かやるから、同じ業界に行かないで違うことやろうぜ」と話したのが具体的なきっかけでした。そこから徹底的に調査し、お客さんのふりをして様々なジムを回り、機材費用や工事費、運営費を全て調べ上げました。

2019年11月に起業を決意し、上司には春から退職の意向を伝え、秋には独立という計画で進めました。

開業前日の緊急事態宣言という試練

2020年3月1日開業予定の前日、2月28日に北海道で緊急事態宣言が発令されました。日本で初めての緊急事態宣言で、「緊急事態宣言って何?」という状況です。

2月からチラシを配って予約をたくさんいただいていたのに、3月1日になって電話が鳴り止まない。全部キャンセルの電話でした。正直、最初はあまり危機感がありませんでした。「多めに運転資金も借りているし、実際のオープンは6月予定だから、なんとかなる」という気持ちでした。

3月から6月までは研修や機材搬入の期間として、3・4・5月は無料のセミオープンという形態だったんです。お客様の客足は細いけれど、売り上げは元々期待していないので、正直「どうでもいい」ぐらいの気持ちでした。

しかし5月には国からの休業命令が出て、完全に休業することになりました。その時初めて助成金や補助金の存在を知り、人件費もなんとかなりそうだと思いました。

6月に解除になった時は「お客さんが戻ってくるだろう」と期待してオープン準備をしました。いろんなイベントも企画しました。でも、蓋を開けてみるとほぼ誰も来ない。「ああ、こんなもんか。世間は解除になってもこういう流れなんだな」と現実を知りました。

そこから本格的に危機感が芽生えました。売り上げが立たない、人件費比率70%という状況で、これはやばいと。シフトを減らしたり、助成金を活用したりしながら、なんとか乗り切りました。

ただ、どうせ早い段階で終わるだろうという気持ちが強くて、初期メンバーを解雇せずに、なんとかなるという考えばかりでした。

失敗から学んだ組織運営の真理

起業当初の私は、正直言って昭和的な熱血経営者でした。社員に対して怒鳴ったり、「やれ!」みたいな感じで。もともと結構熱い人間で、情熱で引っ張っていけばなんとかなると思っていました。

しかし、初期メンバーは全員辞めました。最短で半年、1年、最後に残った一人も4年で退職しました。この辛い経験から、多くのことを学びました。

最初に給料や役職を渡して、「それに合わせて頑張ってくれ」という形でお金を先に投げていたんです。でも、マニュアルがあるわけでもないし、人にはそれぞれ適性があります。お金をもらったからといって、適性がなければできないんです。そこで気づいたのは、役職を渡して、その人がやらなくても降格させるのは難しいということです。これは社員を辞めさせるのが難しいのと同じ理屈ですね。

今では評価制度を役割ごとに明確に作っています。社員はこれをすべきでこの評価になる、これをクリアしたら店長になってこういう仕事になる。でも、それに対してまず「やりたいかやりたくないか」という本人の意思を確認し、適性が合っているかどうかを見極めています。

「誰の何のため」という人生の軸

私を支えている根本的な価値観は、「誰の何のため」という明確な目的意識です。これは警察官を志した時期に確立されたもので、今でも私のすべての行動の基準になっています。

家族といる時は奥さんや子どものため、仕事では関わるすべての人のため。その場その場で対象は変わりますが、常に「誰の何のために行動するのか」を意識しています。目の前の解決だけでなく、その行動が将来どうつながるかも含めて考える。すべて先を見据えた「誰の何のため」です。

現在の会社理念「関わるすべての人に健康とワクワクを」も、この価値観の延長線上にあります。お客様だけでなく、家族、友達、関わるすべての人にこの理念を届けたいと思っています。

組織を仕組みで回すという発想転換

もう一人の役員の存在も大きいです。彼は私とは対照的で、経営者というより管理者タイプ。すごく冷静で、「時代に合わせていくしかない、感情的になってもしょうがない」という考え方の人です。

彼と一緒に歩んできたことで、人に伝える時は論理的に「こうだからこうである」と説明することの重要性を学びました。

今では、仕組みで回すようにしています。自分の情熱は、フランチャイズ展開に賛同していただける「新しい事業を自分の力で強くしていこう」という人にだけ向けています。

IT化時代への危機感と使命感

私が事業を通じて解決したいと思っている社会課題があります。IT化がどんどん進んで、人と人が会う機会が少なくなっている。LINEで友達と連絡していたのが、だんだんAIとしか話さなくなる、そんな時代が来ると思うんです。

でも、人間の体はそれに適応しきれません。何千年もかけて体を動かすことで適応してきた人類が、この50年で一気に動かなくても食える時代になった。それだと、体を壊すに決まってるんです。

長生きはできるようになっても、ガタガタの体で生きていくのはどうでしょうか。病院に頼るのではなく、自分の体をいつまでも健康で元気な状態に保つ。そういう場を提供する運動施設は、すごく大事だと思っています。

「ネオニート」という理想の経営スタイル

私の最終的なゴールは、「ネオニート」になることです。経営者としてのニート、つまり自分がいなくても回る仕組みを作りたい。役員報酬をもらいながら世界中を旅して、価値観を広げていく。そんな生き方を目指しています。

これは怠惰になりたいということではありません。組織が自律的に成長し続ける仕組みを構築し、より大きな視野で事業を俯瞰できる立場になりたいということです。

雑草魂で掴んだ成功法則

行動と継続こそがすべて

これから何かにチャレンジしたいと思っている方に、ぜひ伝えたいことがあります。

学び、考えるまでは9割の人ができると思います。例えばInstagramの運用をしたいと思ったら、いろいろ見て研究して、「こうやったらフォロワーが伸びるのかな」と考える。でも、実際に行動するのは残りの1割だけです。

そして、その1割が行動を始めても、必ず失敗します。でも、それでいいんです。大事なのはたくさん失敗をして、たくさん失敗をし続けて、それでも継続することです。

失敗の新しい定義

私は自分のことを雑草だと思っています。踏まれても踏まれても、諦めないだけです。

いっぱい失敗して辞めたら失敗なんです。でも、止めなければ失敗じゃないと思っています。失敗は結果ではなく、諦めることで初めて確定するものです。

挫折や困難に直面した時、それが失敗かどうかを決めるのは、継続するかどうかにかかっているんです。

謙虚さと学び続ける姿勢

もし起業当時の自分に声をかけるなら、「上には上がいる、己を知れ」と言いたいです。

そして、先人の言葉を「すごいな」「そりゃそうだな」という表面的な理解で終わらせるのではなく、実感として理解することが大切です。まずは学び、考える。そして行動する。

私も今になって、過去の上司や先輩の言葉の真意が分かるようになりました。その時に気づかなかったことが、今まで経験してきたいろんな人の言葉や行動と結びついて、すべて集約されている感じです。

フランチャイズ展開への想い

私が失敗を重ねて苦しんできた経験を、これから事業を始める方に同じ轍を踏んでもらいたくありません。だからこそ、フランチャイズ展開では運営委託型を採用し、投資だけしていただければ、求人・採用・教育・配置まで全て私たちが行います。

利回り147%という数値実績、LTV、再開率、CVC、すべて数字で根拠をお示しできます。自分で起業していっぱい失敗する大変さを考えれば、最初から成功パターンが確立されているフランチャイズという選択肢は、合理的だと思います。

健康とワクワクの重要性

現代はIT化が進み、家で仕事が完結する時代になりました。でも、体が壊れてしまっては意味がありません。

運動にはワクワクが必要です。つらいだけでは続きません。ゲーム感覚で楽しみながら、体という資本と健康を作って、自分の人生を歩んでいく。そんな場を提供することが、私たちの使命だと思っています。

関わるすべての人に健康とワクワクを届ける。この理念に共感していただける方と一緒に、より良い社会を作っていきたいと思います。失敗を恐れず、継続することを諦めず、一緒に頑張っていきましょう。

会社名:株式会社Follow
代表者名:代表取締役 藤原安剛
事業内容:フィットネス事業
住所:〒063-0811 札幌市西区琴似1条5丁目3-22 クリオ琴似ファースト102・2階
設立年:2019年11月
会社HP:https://follow-gym.com/

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