
20年の時間で大概のことはできる
55歳になったとき、前に勤めていた会社で満額退職金がもらえる制度がありました。そのとき私は考えたんです。65歳まで会社で働いて、その後10年間を老後の余裕ある中で過ごすよりも、55歳で独立して75歳まで20年間、ばりばり働きたいと。
会社では60歳を過ぎると多くの会社で雇用形態が変わり、第一線から離れて、なかには、意欲を失ったり、頑固になってしまう方も残念ながら、おられるように思います。そのお気持ちもよくわかります。もちろん、そうではなく、ご自身の知識、経験を次の世代に渡し、周囲から感謝されて65歳まで勤め上げることは大変立派なことだと思います。
一方で、私が一緒に仕事をしていた、外部の業者さんや士業の方たちは自分のビジネスを持ち、70歳、80歳近くになっても元気で生き生きしている。私は彼らのようにあと20年、元気に働いて生きたいと思ったのです。
20年という時間があれば大概のことはできる。私もあと20年で何かできるのではないかと考えたのです。
そう考えたとき、独立への道筋が見えてきました。
見える化してあげることが私の使命
私が仕事上ずっと大切にしてきたのは、相手の考えを深く理解し、その方が勇気を持って、その人らしい選択をするためのサポートをすることです。
リクルート時代の営業から、ミルボンでの総務・法務の仕事まで、一貫してやってきたのは見える化してあげることでした。
相手は自分のことがなかなか見えないもの。それを一緒に整理して、「あなたのポイントはここですよね」「これは気をつけなきゃいけないけど、これは後回しでいいですよね」と示してあげる。相手は一人の人だったり、会社全体だったり。でも、やることの本質はそれほど変わりません。
お客さんの見ているもの、考えていること、言いたいことが見えるようになった瞬間や、道筋が明確になり、ぱあっと表情が明るくなる瞬間。それが私の一番のやりがいです。
トップセールスから惨敗、そして一から学び直し
今まで何度か大きな壁がありました。リクルート時代、関西で部門4年連続トップセールスだった私は、すっかり天狗になり、東京の部署への異動を希望しました。しかし、そこは40代以上の実績豊富な方々が集まる場所で、20代後半で天狗になった私などは全く通用しませんでした。完全に惨敗し、うつ病のようになってしまったんです。
また、転職したとき、人事のプロだと思われていたようですが、私は営業のプロ。給料計算もできない、契約書も読んだことがない状態でした。本社総務の唯一の男性として、何でもかんでも飛んでくる案件に対応しなければならず、最初の2、3年は本当に苦労しました。必要に迫られ、次から次へと勉強、自社へのあてはめ、見える化、提案、実行の繰り返し。
失敗も含めて沢山の経験をさせていただいたことが、今の自分を作っていますし、チャンスをいただいた会社には本当に感謝しています。
そして独立時、茨城という土地で全く知り合いがいない中でのスタート。チラシ作りもネット集客も苦手な私は、とにかく人がいるところに出ていくしかありませんでした。
「先にやっちゃえ」という一言が人生を変えた
一番大きな転機は、親しくさせていただいた士業の先生からのアドバイスでした。「士業の事務所経営なんて、資格によってそんなに変わるものじゃない。先にやっちゃえ」と言われたんです。それまでコツコツ勉強していた司法書士の資格は取得するまで、まだまだ時間がかかりそうでしたが、行政書士は、自分のこれまでの経験や知識を活かせる身近な資格でした。
資格によって、事務所経営がそんなに変わるものでないのなら、行政書士として事務所を開業しようと思いました。この決断は今となっては正解だったと思います。
徹底した現場主義
私が最も大切にしているのは現場主義です。お客さんのためになろうと思ったら、そのお客さんが日々感じていること、見ているものを一緒に見るのが一番の近道。だから、できるだけお客さんの働いている場所に行って、お話を聞くようにしています。
そして、思い立ったらすぐ行動。といっても、18回の引っ越しのほとんどは必要に迫られてのことでしたが、四国歩きお遍路のように、自分で決めたことは迷わず実行します。
法律家ではなく実務家として
目標として、事業規模を今よりも数倍以上大きくし、組織にしたいという気持ちがあります。その理由は自分がこうやって形にしていってるものを、自分だけで終わらせるのではなく、世の中に残しておきたいという思いがあるからです。
そのためには、引き継ぐ人材も必要で、それくらいの規模がないと優秀な人は来てくれないのではないかと思うんです。
また、行政書士という資格の枠にとらわれず、お客さんの役に立てる仕事のやり方をする人がもっといてもいいのではないかと考えています。許認可や遺言作成だけが行政書士の仕事ではない。もっと柔軟に、お客さんのビジネスがうまくいくことを第一に考えたサポートができるはずです。
さらに、私は法律家ではなく実務家だと思っています。私の契約書の目的は、お客様とその取引相手の間のビジネスが円滑にいくこと、トラブルができるだけ起こらないこと。同じ業種でも1社1社ご商売の仕方も、そこに集まる顧客も違います。やみくもに、契約書で取れる権利を最大限取ろうとしてトラブルになったら本末転倒です。
本当に必死になって考え、行動することから始まる
転職や独立を考えている方へお伝えしたいのは、やりたいことをやった方がいいということです。そして、なるべく早い方がいい。
ただし、その人らしい選択をするために大切なことは、必死に考えることでしかわかりません。人任せにしたり、小手先でうまくかわそうとしていては、どんな選択をしてもうまくいきません。人はやったほうがいいことをあれこれと教えてくれますが、やったほうがいいことなど無限にあるのです。限られた自分の資源をつぎ込む決断は100%自己責任です。
無駄な経験なんて一つもありません。どんな経験でもそれを求めている人がいます。資格を取れば仕事が来ると思っている人もいるかもしれませんが、それは違います。士業も経営者、創業です。行動することが大切です。
自分の人生のことは、結局自分しか本気で心配していません。だからこそ、必死になって考え、行動する。
それが、その人らしい選択をするための第一歩だと私は思います。
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