
消防士からの転身 パワハラと挫折を乗り越えて動画事業で起業
私が起業を決意したきっかけは、消防士時代に経験した4年間のパワハラでした。9年間消防士として働く中で、最後の4年間は本当に辛い時期でした。
幼稚園の頃から消防士になることが夢で、20倍という高倍率の試験に合格し、念願だった職業に就いていました。だからこそ、辞める理由を見つけることができませんでした。いじめられても、病気になっても、これしか仕事はないと思い込んでいたんです。
最初は自分がうつになっていることに気づきませんでした。前までできていた仕事が説明書を見ないとできなくなり、やがて説明書を見てもできなくなる。徐々に退化していく自分を感じながらも、正解を出せば怒られないと信じて必死に努力し続けました。
しかし、完璧な正解を出したにも関わらず、上司から「今のお前は正解を出しても不正解だ」と言われた瞬間、私の心は完全に折れました。そのうち意識が飛んで車で事故を起こしそうになったり、買い物に行っても冷や汗が出て倒れそうになったり、普通の生活すらままならない状態になっていました。
転機となったのは、息子が1歳になった時でした。自分だけの人生じゃなくなった。守るべきものができた時、何かしないといけないという強い気持ちが芽生えました。
でも、一般企業に勤めても、同じような状況になった時にフラッシュバックするだろうと思ったんです。姉が自営業をやっていることから、そういう生き方もいいかもしれないと想い、自分で事業をやることを決意したのです。
なぜ僕が動画事業を始めたのか。そのきっかけは息子です。
当時1歳だった息子のために、0歳から20歳までの写真や動画を撮りためて、20歳の成人式にプレゼントしたいという想いから、まずカメラを購入しました。それまで動画編集は全くの素人でしたが、息子に最高の思い出を残したい一心で、撮影技術や編集スキルを独学で学び続けたんです。
技術を磨いている最中、偶然にも知り合いのコーヒーショップから、YouTubeを始めたいが素人なので、モニターでいいから動画編集をお願いできないかという相談を受けたことが転機となりました。今でもその知り合いからはずっと動画編集を依頼していただいています。
動画制作と公式LINE構築サポートで成果を生み出す理由
現在私が提供しているのは、映画以外の動画に関する撮影・編集全般です。YouTube動画、LP用動画、シネマティック動画など雰囲気動画と呼ばれる動画まで幅広く手がけています。
例えば、大阪万博関連の職人さんの作業風景を撮影し、その人がどういうお仕事をされているのかを雰囲気で伝える1分程度のCMのような動画も制作しています。動画制作だけでなく、公式LINE構築やIT補助金導入のサポートも行っています。これは、YouTube編集だけ、LPだけといった単発の施策では成果が出ないことがわかったからです。
バズっても意味がない。半永続的にいろんな施策を組んでいく必要があるため、チームで包括的なサービスを提供しています。
1分で人の心を動かす映像の可能性とチームの力
動画はどんな事業にも必要不可欠な媒体だと思っています。この商品が届くお客様一人一人に、動画作成が持つ無限の可能性に気づいてほしいと願っています。
その人の魅力や思いは、文字だけでは伝わらないことがたくさんあります。1分から3分の動画があれば、構成やちょっとした演出で、本当に何でもできると信じています。
お客さんが求められていることを動画に落とし込み、その人の想いや色、形、すべてをそこに入れ込めるのが動画の可能性だと思うのです。
仕事をする上で大切にしているのは、楽しく、そして自分の周りの人を幸せにすることです。僕はチームの動画編集者を下請けではなく、ビジネスパートナーだと考えています。一緒に考え、一緒にいいものを作り、一緒に上を目指す。そんな関係値を大切にしています。
また、僕にとって、撮影時が一番やりがいを感じる瞬間です。お客さんとの距離が最も近く、その人の感情や想いを引き出せる時間だからです。話している最中に泣き始めたり、過去の話をしてくれたりする時、「この人の本当の想いや喜怒哀楽が出ている良い動画が作れている」と実感し、幸福感を感じることさえあります。
泥水をすすった起業初期 八方美人をやめて売上が跳ね上がった成功体験
起業当初は本当に厳しい時期が続きました。泥水をすするという表現がぴったりの状況でした。クラウドソーシングで1時間の動画を1分にまとめる仕事を1万5000円で受け、50回ものやり取りを重ねて1週間かかる。時給に換算すると100円程度でした。15分の動画を5000円で作成し、4日間かけてもやり直しを求められる。お客さんに来てもらったと思ったら、権威性も実績もない状態では、なめられることも多く、本当に辛い時期でした。
月30万円から上に売り上げが上がるまでに時間がかかりました。最初はカッコつけて、あまり必死に集客をしていませんでした。しかし自分を見つめ直した時、「自分は何をやっているんだろう」という感情が湧いてきました。
転機となったのは、八方美人をやめたことです。僕が運営しているコミュニティでも「それも分かります」「そうですね」と同調し続けていましたが、去年の年末に「言いたいことを言います。それが嫌な人は抜けてください」と宣言しました。
結果、2人しか抜けず、逆に吉田さんの熱さが戻ったと言われました。そこで自分が周りに気を遣い続けていたことに気づきました。周りの人たちは僕に気を遣われることを求めていたのではなく、僕の情熱を見たかったんだと気づいたんです。
それに気づいてからは、お客さんに気は遣うけど、言うことは言うというスタンスを取っています。ダメなことはダメと言うようになった瞬間、3ヶ月ほどで売上が跳ね上がりました。
もちろん、言うべきことを言うために何が必要なのか、考え抜きました。すると、お客さんを守るためには、LINE構築もIT補助金も必要だし、ちゃんとしたチームを組む必要があると気づき、サービスの質が上がったのです。
また、僕のマインドも大きく変わりました。どんな難しい案件を取ってきても、人脈を活用して無理矢理にでもやり遂げる。実際、僕はやり遂げられますし、どんな案件でも請けられるという自信がつきました。
月7桁達成から見える未来 保育士支援と億事業を目指す展望
正直、まだ成功したとは思っていません。売上的には月7桁を達成し、生活も安定してきましたが、そこから見えた景色は「もっと自分の事業に投資したい、もっと上を目指したい」という感情でした。
山登りに例えるなら、まだ2合目程度だと感じています。なぜなら、起業家として億事業を目指しているからです。
また、日本保育協会という社団法人で理事として活動を始めています。保育士さん向けの事業で、しんどい思いをしている保育士さんが集まれる場所や、セカンドキャリアのお手伝いができるような場所を作りたいと考えています。
法人の名刺と動画事業の名刺、2枚持つことで信頼度も上がり、より大きな案件につながると想像しています。自分が稼げば稼ぐほど、助けられる人の半径が広がる。自分の周りの人たちを幸せにできる範囲が広がれば、それだけ幸せな人が増えると信じています。
これから起業を目指す人へ 泥水をすすっても歩み続ければ道は開ける
最初は必ず苦労する道を選んでください。人間はすぐに甘い方や楽な方に行きがちですが、コツコツを誰よりも早くすることが大事です。甘い言葉にすぐに浮かれたり、実力がないうちからテイカーのような存在になると、周りの人はいずれいなくなります。
実際に、私も実績がないのに大きな仕事を求めて、クレクレ状態になってしまったことがあります。もちろん、そんな状態では相手にされることはありませんでした。しかし、1年半後にその方から保育事業を一緒に立ち上げようと声をかけていただきました。きっと私の成長を見ていてくれたのだと思います。
また、お客さん一人ひとりに対して、誠実に向き合うことが何より重要です。自分だけ良ければいいという考えでは決してうまくいきません。人から買ってもらうために、形のないものだけを売るのはリスキーです。しっかりと形にして、見えるものを作らなければいけないというのが僕の信念です。
これまで、何が私を突き動かしてきたかというと、やはり家族、特に子供の存在です。「抱っこして」と言ってくる息子を見ていると、やはり愛しく、守らなければならないと強く感じます。
最後に言いたいことは、一つ一つ丁寧に積み上げて、頑張れということです。泥水をすすってでも歩み続ければ、必ず道は開けると僕は信じています。
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